あがり症とお酒の関係性|緊張を和らげる「魔法の一杯」に潜む落とし穴とは?

パニック障害

人前で話すとき、緊張して頭が真っ白になったり、

声が震えたり、顔が赤くなったり――。

そんな「あがり症」に悩む方が、日本には非常に多く存在します。

そのような中で、「少しお酒を飲んだら緊張がマシになる」といった

体験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

確かに、アルコールには緊張や不安を一時的にやわらげる作用があります。

しかし、それに頼りすぎるとどうなるか?

本記事では、あがり症とお酒の関係を心理的・医学的・依存的な観点から

深く掘り下げ、リスクと対策をわかりやすく解説します。

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あがり症とは何か?

あがり症とは、正式には「社交不安障害」や「対人恐怖症」と呼ばれ、

人前での発言・発表・会話などに強い不安や緊張を感じる状態を指します。

主な症状:

  • 人前で話すときに心拍数が上がる

  • 声が震える・詰まる

  • 手足が冷たくなる、汗をかく

  • 顔が赤くなる(赤面症)

  • 発表前に胃が痛くなる、下痢をする

  • 極度の緊張でミスをしてしまう

あがり症の程度には個人差がありますが、日常生活や仕事、

学業に支障をきたす場合は、医療的な介入が必要なケースもあります。

お酒があがり症に効くと言われる理由

あがり症の人が緊張場面で「一杯の酒」に手を伸ばすのには、それなりの理由があります。

アルコールの作用とは?

アルコールは脳内のGABA(γアミノ酪酸)という抑制性神経伝達物質を増やすことで、

神経の興奮を抑え、リラックス効果をもたらします。

効果としてよくあるのは:

  • 緊張感の軽減

  • 自信が出てくる感覚

  • 言葉がスムーズに出るように感じる

  • 恥ずかしさが薄れる

  • 周囲の視線が気にならなくなる

こうした「一時的な安心感」が、お酒に対する

依存の始まりになることも少なくありません。

お酒であがり症は本当に克服できるのか?

結論から言うと、お酒はあがり症の「克服」にはなりません。

一時的な緩和にすぎない

たしかに、緊張を感じる前に1杯のビールやウイスキーを飲むことで、

気が楽になったように感じることはあるでしょう。

しかし、それは「感じにくくしているだけ」であり、

不安の根本が消えたわけではありません。

脳が覚えてしまう

「お酒を飲んだらうまく話せた」という成功体験があると、

次もまた「飲まないとうまくいかない」と脳が学習してしまいます。

これは非常に危険なサイクルです。

お酒に頼りすぎることで起こる3つの問題

問題1:精神的依存が進む

最初は「ちょっとだけ」と思っていたのが、次第に「お酒がないと怖くて話せない」

と思うようになってしまいます。

自分に対する自信は減っていき、「素の自分ではダメなんだ」と

自己否定の思考パターンが強化されます。

問題2:飲酒量が増える

耐性がつくと、次第に1杯では効かなくなり、2杯、3杯と量が増えていきます。

日常的に飲むようになり、最終的には健康を害する恐れがあります。

問題3:アルコール依存症へのリスク

最も深刻なのが、アルコール依存症へ進行してしまうケースです。

不安を和らげるための手段として飲酒が習慣化されると、

脳内の報酬系が過剰に刺激され、やめられなくなっていきます。

 医療との関係:薬との併用に注意

あがり症を病院で治療している場合、SSRI(抗うつ薬)や

抗不安薬などが処方されることがありますが、

これらの薬とアルコールは相性が悪いことが多いです。

併用のリスク:

  • 副作用が強く出る(眠気、めまい、記憶障害など)

  • 薬の効果が弱まる、または強まりすぎる

  • 意識障害や事故のリスクが上がる

医師から「禁酒」の指導を受けている場合は、必ず守りましょう。

お酒に頼らずあがり症を和らげる方法

それでは、どうすればお酒に頼らず、

あがり症に立ち向かうことができるのでしょうか?

効果的な方法をいくつか紹介します。

① 認知行動療法(CBT)

思考と行動のパターンを分析し、不安や恐怖に対する

捉え方を変えていく心理療法です。

「あがってはいけない」という思い込みを、

「多少あがってもいい」と変えていくことで、心が軽くなります。

② 呼吸法・マインドフルネス

深くゆっくりとした腹式呼吸を行うことで、自律神経が整い、

心拍数や緊張をコントロールしやすくなります。

マインドフルネス瞑想も、今ここに意識を向け、不安を客観視する効果があります。

③ 少しずつ「慣れる」トレーニング

  • 鏡の前でスピーチ練習

  • 家族や友人の前で話す

  • 少人数の発表から徐々にステップアップ

成功体験を積み重ねることで、「あれ、大丈夫だった」と感じる回数が増え、自信が形成されます。

④ 専門のプログラムを活用する

近年では、あがり症専門のオンラインプログラムやカウンセリング、

講座なども豊富に存在します。

科学的根拠に基づいたアプローチを取り入れることで、

着実に改善していくことが可能です。

実際の体験談:お酒で失敗したケース

以下は、筆者が取材した中で印象的だった実例です。

Aさん(30代男性・営業職)
「緊張すると声が震えてしまって、お酒を飲むことでなんとか話せるようになったんです。最初は打ち上げの席で飲むくらいでしたが、徐々に仕事前にもコンビニで缶チューハイを買って飲むようになりました。結果的に上司にばれて、信頼を失いました。今は専門機関で治療中です。」

Bさん(20代女性・大学院生)
「発表前にワインを一杯飲むのが習慣でしたが、あるとき量を間違えて酔っ払いすぎてしまい、発表中に失言をしてしまいました。その日から飲まないようにしていますが、今でも『飲まないと話せない』という恐怖が少し残っています。」

あがり症は「素の自分」で乗り越えられる

お酒は、たしかに一時的に不安を打ち消す力を持っています。

しかし、それは「本当の自分の力」ではありません。

あがり症は、「性格だから仕方ない」と思われがちですが、

正しい方法を実践すれば、確実に改善していきます。

「素の自分でも大丈夫だ」と思えるようになったとき、

本当の意味での克服が始まります。

まとめ|「一杯のお酒」より、「一歩の勇気」を

観点 内容
短期的効果 アルコールで一時的に緊張が和らぐことはある
長期的影響 精神的依存・飲酒量の増加・アルコール依存症のリスクあり
おすすめの対処法 CBT、呼吸法、マインドフルネス、段階的トレーニングなど

「ちょっとだけならいいか…」と感じることもあるかもしれません。

しかし、あなたの本当の自信は、お酒の力ではなく、自分の中に眠っています。

あがり症は、決して「治らない病気」ではありません。

正しい方法とサポートを受ければ、必ず乗り越えられます。

焦らず、自分のペースで進んでいきましょう。

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